中空ガラスビーズ(Hollow Glass Microspheres)とは|中空構造(Hollow Structure)を持つ軽量化・断熱・電子材料用途に適した高機能中空フィラー

中空ガラスビーズ(Hollow Glass Microspheres)は、ガラス殻の内部に空気を封入した 中空構造(Hollow Structure) を持つ超軽量の無機フィラーです。 比重の大幅な低減、断熱性、流動性改善、寸法安定性など、 一般的な無機フィラーでは得られない多くの機能を付与できます。

中空構造により、

  • 極めて低い密度(0.13〜0.80 g/cm³)
  • 高い断熱性(低熱伝導率)
  • 高い耐圧強度(500〜30,000 psi)
  • 真球度の高いマイクロスフェア構造による流動性向上
  • 無機ガラスによる耐熱性・耐薬品性

といった特性を併せ持ち、 軽量化・断熱性・比重調整・加工性改善など、材料設計の自由度を大きく高めます。

特に、電子材料・高強度樹脂・複合材料分野では、 低誘電・高強度・高純度 が求められるため、 一般品(HL/HC)では対応できない高機能グレードが必要となります。

TKSKでは、 一般的な建材用GBは取り扱わず、 電子材料・高強度用途に特化した HS / FS / CM / HGS / SK シリーズ を中心にラインナップしています。

  • 軽量化(Lightweighting)
  • 断熱性(Thermal Insulation)
  • 比重調整(Density Control)
  • 流動性改善(Flow Improvement)
  • 表面平滑性の付与(Surface Smoothing)

などの用途に加え、 電子材料・5G・高強度樹脂・特殊複合材料 など、 より高い性能が求められる分野で高い効果を発揮します。

中空フィラー全体の特徴や、 ガラス・セラミックス・アルミナとの比較については 「中空フィラー総合ページ」で詳しく解説しています。

一般品(HL/HC)と高機能品(HS/FS)の違い

中空ガラスビーズには、建材・塗料などの汎用用途向けに設計された 一般品(HL/HC) と、 電子材料・高強度樹脂向けに最適化された 高機能品(HS/FS) の2種類があります。

同じ「中空ガラスビーズ」という名称でも、 性能・純度・用途が大きく異なる別カテゴリの素材 です。

一般品(HL/HC)の特徴

一般品は、建材・塗料・パテなどの汎用用途向けに設計されたタイプで、 以下のような特徴があります。

  • 粒径が大きく、分布も広い
  • 強度は中程度(100〜300 psi)
  • 純度は標準レベル
  • 誘電特性は電子材料向けではない
  • 価格重視の大量用途に適する

建材や塗料など、軽量化や断熱性を付与する汎用用途 で広く利用されています。

高機能品(HS/FS)の特徴

高機能品は、電子材料・高強度樹脂・複合材料など、 より高い性能が求められる用途向けに最適化されたグレード です。

  • 微粒子で粒度分布が狭い(5〜40µm中心)
  • 高い耐圧強度(800〜6000 psi)
  • 高純度で不純物が少ない
  • 低誘電特性が必要な電子材料に適合
  • FSシリーズは撥水・表面処理により分散性が向上
  • 高強度樹脂・5G材料・複合材料に最適

一般品では対応できない性能領域 をカバーするため、 電子材料や高機能樹脂で採用が進んでいます。

TKSKが取り扱うのは“高付加価値グレードのみ”

当社では、建材・汎用用途向けの一般品(HL/HC)は取り扱わず、 以下の 高機能ラインナップに特化 しています。

  • HSシリーズ(高強度・高純度)
  • FSシリーズ(表面処理・低誘電)
  • CMシリーズ(高密度)
  • HGSシリーズ(高純度)
  • SKシリーズ(超高強度)

これにより、電子材料・高強度樹脂・複合材料など、 高性能が求められる用途に最適な素材選定 を提供しています。

中空ガラスビーズの特長(Features of Hollow Glass Microspheres)

FEATURE1

内部が空洞の球体構造を持つため、非常に軽量な無機フィラー として機能します。密度は一般的に 0.13〜0.63 g/cm³と低く、樹脂・塗料・パテなどに配合することで、製品全体の軽量化に大きく貢献します。

電子材料・高強度樹脂・複合材料に加え、建材・自動車・輸送機器などの軽量化用途でも効果を発揮します。

FEATURE2

中空構造内部に閉じ込められた空気が 熱伝導を抑制 し、優れた 断熱性(Thermal Insulation) を発揮します。樹脂・塗料・モルタルなどに配合することで、薄膜でも熱伝導率を低減できます。

断熱塗料や軽量断熱材として利用されるほか、温度変化の大きい環境でも 安定した断熱性能 を維持します。建材・工業用途での省エネ性向上にも寄与します。より高い断熱性能や薄膜での熱制御が必要な場合には、シリカエアロゲル粉末との併用・比較検討が有効です。

FEATURE3

薄いガラス殻でありながら 高い耐圧強度(特にHS/SKグレード) を持ち、外部からの圧力に対して破壊されにくい特性があります。特に高耐圧グレードは、混練時の剪断力にも耐え、粒子形状を維持しやすい のが特長です。

樹脂成形品やパテ材に使用した際には、機械的特性の向上や寸法安定性の確保に寄与します。高荷重条件下での使用や、強度と軽量性の両立 が求められる複合材料に適しています。

FEATURE4

ガラス素材であるため 吸水性が低く、湿度や水分の影響を受けにくい特性があります。塗料・建材・樹脂などに配合した際も、吸水による膨張や劣化を抑制できます。

低吸水性は 寸法安定性や耐久性の向上 に寄与し、長期的な性能維持 が求められる用途に適しています。屋外環境や高湿度環境でも性能が安定 します。
また、フッ素処理グレード(FS 系)さらに高い撥水性 を持ち、電子材料・高周波用途など、湿度による特性変動を避けたい用途に適しています。

FEATURE5

球状の形状により、樹脂・塗料・パテなどの 流動性を改善 し、加工性を向上させます。粘度上昇を抑えながら充填量を増やせるため、作業性の向上に寄与します。

均一な塗膜形成や成形性の改善に役立ち、塗料・接着剤・パテ材など幅広い用途で効果を発揮します。球状粒子による流動性向上は、複合材料の均質化にも貢献します。

FEATURE6

軽量化、断熱、流動性改善、表面平滑化など 複数の効果を同時に付与 できるため、非常に汎用性の高い無機フィラーです。電子材料・高強度樹脂・複合材料をはじめ、建材、塗料、樹脂成形、接着剤、パテ、3Dプリント材料など幅広い分野で利用されています。

用途に応じて 密度・耐圧・粒度を選択できる 点も大きな特長で、複合材料の性能最適化や軽量化を目的とした幅広い産業用途で採用が進んでいます。

中空ガラスビーズの用途

中空ガラスビーズは、ガラス殻内部に空気を含む中空構造を持つ軽量無機フィラーで、電子材料・高強度樹脂・複合材料をはじめ、建材、塗料、樹脂コンパウンド、シーリング材など、さまざまな分野で応用が進んでいます。比重低減や断熱性の付与、収縮・反りの抑制など、設計上の課題に対して多面的な機能を提供し、樹脂・塗料・パテ・シーリング材など、軽量化や断熱性が求められる用途で採用が進んでいます。

建築・産業用途
(Construction & Industrial Applications)

中空ガラスビーズは、軽量化・断熱性・寸法安定性 が求められる建築・産業分野で幅広く利用されています。建材から産業機器まで、構造材の軽量化や熱管理、成形安定性の向上に寄与し、設計自由度を高めます。

■ 建築部材の軽量化・断熱性向上

  • 壁材・パネル・モルタルなどの比重を低減し、施工負荷を軽減
  • 中空構造により断熱性を付与し、省エネ建築に貢献

■ 成形品の寸法安定化(反り・収縮の抑制)

  • 樹脂・パテ・充填材に配合することで、反り・収縮を抑制
  • 大型部材や精密成形品の寸法精度向上に寄与

■ 産業機器の熱管理・軽量化

  • 断熱性を活かし、機器筐体や断熱パーツの熱負荷を低減
  • 軽量化により、可搬性や省エネ性を向上

※電子材料用途では、低誘電性・高強度・高純度が求められるため、HS/FS/HGS/SKシリーズが選ばれるケースが増えています。

耐熱性や高温環境での安定性が特に重要な場合には、ガラスより耐熱性の高い中空セラミックスが適するケースもあります。

さらに高い断熱性能や薄膜での熱制御が必要な場合には、「シリカエアロゲル粉末」が選ばれるケースもあります。

塗料・コーティング用途
(Coating Applications)

中空ガラスビーズは、断熱性・軽量性・表面制御 の付与を目的とした塗料・コーティング分野で活用が進んでいます。膜厚調整や表面質感の制御、熱遮断など、多様な機能を付与できます。

■ 断熱・遮熱コーティング

  • 中空構造により熱伝導を抑制し、外装・屋根・設備の温度上昇を抑える
  • 省エネ塗料や遮熱塗料の性能向上に寄与

■ 膜厚調整・軽量化

  • 比重の低いビーズにより、厚膜でも軽量な塗膜を形成
  • 施工性の改善や塗布量の最適化に貢献

■ 表面質感・マット化

  • 均一な粒径により、マット感・テクスチャーを自然に付与
  • 意匠性向上や光沢調整に利用

電子機器の熱制御コーティングや絶縁塗料でも、軽量性・断熱性を活かした応用が進んでいます。

樹脂・シーリング材用途
(Resin & Sealant Applications)

樹脂・シーリング材分野では、軽量化・寸法安定性・熱特性改善 を目的に中空ガラスビーズの利用が広がっています。成形性の向上や収縮抑制など、複合材料としての性能向上に寄与します。

■ 樹脂コンパウンドの軽量化・寸法安定化

  • 比重低減と剛性バランスの調整が可能
  • 成形品の反り・収縮を抑え、寸法精度を向上

■ シーリング材の収縮抑制・施工性向上

  • 中空構造が硬化時の収縮を抑制し、安定した仕上がりを実現
  • 軽量化により施工負荷を軽減

■ 熱特性・衝撃吸収性の付与

  • 低熱伝導率により、樹脂やシーリング材の熱管理性能を改善
  • 衝撃吸収性の向上にも寄与し、複合材料の耐久性を強化

用途に応じて、密度・粒度・耐圧強度を最適化することで、材料特性(軽量性・断熱性・寸法安定性)を最大限引き出すことができます。

安全性・取り扱い(Safety & Handling)

中空ガラスビーズは軽量で微細な球状粒子のため、取り扱い時には飛散や吸入を防ぐための基本的な安全対策が必要です。以下は一般的な取り扱い上の注意点であり、詳細はSDS(安全データシート)をご確認ください。

飛散防止(Prevention of Dust Dispersion)

  • 粒子が空気中に舞いやすいため、静かに取り扱い、必要に応じて局所排気設備を使用してください。
  • 開封時は風のない環境で作業することが推奨されます。

吸入回避(Avoid Inhalation)

  • 微細粒子の吸入を避けるため、防じんマスクなど適切な保護具を着用してください。
  • 長時間の作業では十分な換気を確保してください。

皮膚・目の保護(Skin & Eye Protection)

  • 粒子が目に入らないよう保護メガネを着用してください。
  • 皮膚に付着した場合は水で洗い流してください。
  • 目に入った場合は速やかに洗眼し、必要に応じて医師の診察を受けてください。

保管方法(Storage Conditions)

  • 湿気を避け、密閉容器に入れて保管してください。
  • 高温多湿・直射日光を避け、安定した環境で保管することが望まれます。
  • 他の化学品と混在させないよう注意してください。

廃棄方法(Disposal)

  • 廃棄は地域の法規制や産業廃棄物処理ルールに従って適切に行ってください。
  • 飛散しないよう密閉して処理してください。

SDS(安全データシート)について

  • 製品のSDSはご依頼に応じて提供可能です。
  • ご購入前に必要な場合は、お問い合わせにてお知らせください。
  • 本製品は SGS による RoHS 試験(EU 2015/863)に適合しています。(鉛・水銀・カドミウム・六価クロム・PBB・PBDE・フタル酸エステル類は、いずれも規制値以下であることを確認済みです。)

中空ガラスビーズ 製品ラインナップ(Product Lineup of Hollow Glass Beads)

中空ガラスビーズは、粒径・密度・破壊強度 が性能を左右する重要な要素です。 用途(電子材料・高強度樹脂・複合材料・断熱材・塗料など)に応じて、 粒径分布・殻厚・密度の最適設計 が求められます。

TKSKでは、電子材料・高強度用途に適した 5 系列(HS / FS / CM / HGS / SK) を中心に、 高付加価値グレードのみをラインナップしています。

※TKSKでは 電子材料・高強度用途に特化しているため、一般的な中空ガラスビーズの取り扱いは行っていません。

HS 系(高強度・高純度タイプ)

電子材料・高強度樹脂用途の中心シリーズ。
高い耐圧性と高純度により、低誘電・高強度・高分散性 が求められる用途に最適。
HS28 / HS32 / HS38 / HS42 / HS46 / HS56 / HS60 / HS65 / HS70

FS 系(フッ素処理・疎水性タイプ)

表面にフッ素処理を施し、疎水性・分散性・低誘電性 を強化。
湿度による特性変動を避けたい 電子材料・高周波用途・シーリング材 に最適。
HS15FS / HS20FS / HS28FS

CM 系(高密度タイプ)

高密度・高強度が必要な特殊用途向け。
高荷重・高圧環境 での寸法安定性や強度確保に適する。
CM6030

HGS 系(高純度タイプ)

電子材料用途で求められる 極低不純物・高純度 を実現。
低誘電・高信頼性が必要な樹脂・複合材料に最適。
HGS23K

SK 系(超高強度タイプ)

30,000 psi クラスの超高強度を持つ特殊グレード。
油田固井・高圧用途・高荷重複合材料 に使用される最上位シリーズ。
SK60

中空ガラスビーズの粒度分布(Particle Size Distribution of Hollow Glass Beads)

粒度分布の制御が重要な理由(Why Particle Size Control Matters)

  • 粒径により流動性・充填性・断熱性が大きく変化する。
  • 粒子が大きすぎると表面粗さが増し、塗膜や樹脂の仕上がりに影響する。
  • 破壊強度は粒径と殻厚に依存し、用途に応じた最適選定が必要。

※電子材料用途では、粒度分布の狭さ(D50 5〜40µm) が 誘電特性・分散性に大きく影響するため、HS/FS/HGS 系列が選ばれるケースが増えています。

測定方法と分布の特徴(Measurement Methods & Distribution Characteristics)

  • レーザー回折法が一般的で、粒径分布を高精度に測定可能。
  • 真球度や破壊強度は別途物性試験で評価される。
  • 粒径が小さいほど充填性は高まるが、破壊強度が低下する傾向がある。

一般的な粒度分布範囲(Typical Particle Size Ranges)

  • D50:10〜80 µm
  • D90:40〜120 µm
  • 樹脂用途:40〜70 µm
  • 断熱・建材用途:80〜120 µm
  • 高強度用途(固井・油田):40〜60 µm

TKSKの中空ガラスビーズ ラインナップ(TKSK Hollow Glass Beads Lineup)

当社では、以下の密度・強度レンジを中心に複数グレードを取り扱っています。用途に応じて最適なグレードをご提案いたします。

■ 密度レンジ(True Density)
  • 0.13〜0.20 g/cm³(超軽量タイプ)
  • 0.20〜0.35 g/cm³(軽量・断熱タイプ)
  • 0.35〜0.50 g/cm³(汎用タイプ)
  • 0.50〜0.80 g/cm³(高強度タイプ)
■ 破壊強度(Compressive Strength)
  • 500〜1,500 psi(軽量化・塗料)
  • 2,000〜4,000 psi(樹脂・SMC/BMC)
  • 5,000〜8,000 psi(建材・工業用途)
  • 12,000〜30,000 psi(油田固井・高圧用途)
■ 粒径(D50)
  • 10〜80 µm(用途に応じて選定)

中空ガラスビーズの体積特性(Volume Characteristics of Hollow Glass Beads)

中空ガラスビーズは、ガラス素材でありながら極めて低い嵩密度を持つことが特徴です。
一般的な無機フィラー(1.5〜2.7 g/cm³)と比較して、1/3〜1/10 程度の軽量性を実現します。

代表的な嵩密度と体積換算は以下の通りです。

嵩密度:0.12〜0.60 g/cm³
1 kg あたりの体積換算:約 1.6〜8.3 L


用途により必要な体積は大きく変動するため、樹脂・塗料・建材などの配合比に応じた最適な嵩密度をご提案 いたします。

このように、軽量化・断熱性・加工性の向上に寄与する点が、
中空ガラスビーズの大きな利点となっています。

カスタム粒径・密度にも対応可能です。研究用途から量産検討まで、お気軽にご相談ください。断熱性・軽量化をさらに高めたい場合は、シリカエアロゲル粉末のページもあわせてご覧ください。